「純を装う」
津田えり
カメラを通してものを見た時、途端に実態の無さが露呈されるような感覚に陥る。確かに私はそこにいたはずなのに、その景色やものを確かに捉えたはずなのに、残った写真を見ると私がそこにいたことが信じられない。けれど、その時の感情だけは今もまだ胸の内側に残っている。 いつだって目が眩むような、私の心を見透かしてくるような対象を見ていたい。混じり気のない、ありのままで偽りや飾ることもない、そんな姿を何の躊躇いもなく曝け出すように表現したい。私の瞳のなかにもっと純を装いたい。